リハビリテーションセンター長のご挨拶

リハビリテーションセンター長
宗本 滋

再び元のように、一人で生活できるようにするという考えがリハビリテーションであり、訓練を含めたあらゆる手段を指します。金沢脳神経外科病院のリハビリテーション医療はリハビリテーションの手段の多くを提供できます。しかも脳卒中発症直後から開始し、回復期を経て、患者さんが地域に落ち着かれるのを見届けるまでお世話します。 リハビリテーション科医師のもとに、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のリハビリテーション専門職員はもちろん、看護師、看護補助職員、社会福祉士、義肢装具士、栄養士、薬剤師、地域連携職員など多くの職員がチームを組んで、患者さんの希望に沿って、リハビリテーションサービスを提供します。 当院の特徴の一つは、救急入院される脳卒中患者さんに対して入院した日からリハビリテーション医療を行い、急性期が過ぎたら障害の重い軽いにかかわらず当院の回復期リハビリテーション病棟でリハビリテーション医療を継続しますので、比較的多くの重度障害の患者さんを治療していることです。それだけにチームワークの実力が求められますので、106床の回復期リハビリテーション病棟に入院している患者さんを4つのグループに分け、その各グループに看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の混成チームを割り当てて、患者さんをチームで治療しています。各チームには看護師のチームリーダーとリハビリテーション専門職員のチームマネージャを配して、休日もリハビリテーション医療を実施し、個別的かつ総合的なきめ細かいサービスの提供を目指しています。 今後は、リハビリテーション専門職員をもっと増やして、サービス量とチームアプローチを充実し、脳卒中後の種々の障害による患者さんの問題に取り組んでいきます。

回復期リハビリテーション病棟の概要

回復期リハビリテーション病棟とは

脳血管疾患や大腿骨頚部骨折などの方に対して、日常生活の向上をはかり、自宅に復帰することを目的として集中的にリハビリテーションを行う病棟です。

当院が目指すリハビリテーションとは

  • 病気や受傷した時から一貫したリハビリテーションを行います。
  • 一日でも早く自宅退院できるように支援していきます。
  • 自宅生活が困難な方には生活施設のご紹介・選定などの援助をいたします。

回復期リハビリテーション病棟の入院条件(厚生労働省)

  • 脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血 等)、脊髄損傷、頭部外傷(脳挫傷 等)、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症後若しくは手術後の状態又は義肢装着訓練を要するかた
  • 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の骨折又は2肢以上の多発骨折の発症後又は手術後のかた
  • 外科手術後又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後又は発症後のかた
  • 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後のかた
  • 股関節又は膝関節の置換術後のかた
  • 急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後のかた

回復期リハビリテーション病棟常勤医師

  • 宗本 滋
  • 岡本 一也

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回復期リハビリテーション病棟の特徴

施設の特徴

当院の回復期リハビリテーション病棟は106床です。当院で急性期の入院治療を終えられた後、継続してリハビリテーションを行うために回復期リハビリテーション病棟に移ってくるかただけでなく、他の医療機関で脳血管疾患や整形外科での急性期治療を終えられた後、リハビリテーションのために当院に転院なさってくるかたも多数おられます
 当院の回復期リハビリテーション病棟の特徴は、病棟組み込み式のリハビリテーション訓練室です。 病室と同じフロアに訓練室がありますので、とても活気に満ち溢れています。また、明るく広い開放感ある病室や廊下、充実した訓練機器、自宅に帰ってからの生活を体験できる「宿泊体験室」など、まさに病棟全体がリハビリテーションの場として、患者さんの社会復帰をサポートいたします。

理学療法室
作業療法室
言語聴覚室
解放感ある廊下
病室
宿泊体験室

チーム医療と充実したリハビリテーション提供体制

【チームアプローチ】

回復期リハビリテーション病棟では、すべての患者さんに対して、月に1回、多職種(医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー等)が会してカンファレンスを行っています。それぞれの専門的視点から、患者さんの現状についての話し合いを行い、今後の計画を立てます。また、多職種の栄養サポートチーム(NST)がすべての治療の基盤である栄養サポートを推進しています。

【365日リハビリテーション】

充実したリハビリテーションの提供による1日でも早い社会復帰を目標としており、日曜・祝祭日においてもリハビリテーションを実施しています。

専門スタッフのご紹介

明るい笑顔と生きがいを多くの専門スタッフが一丸となって、患者さん1人1人に合ったサポートを行います

医 師

「リハビリテーションは継続が大切です」
 回復期リハビリテーション病棟の医師の役割は、リハビリテーションの阻害因子の緩和やリハビリテーション医療のマネジメント、病棟の管理です。脳卒中を発症した場合、進行した糖尿病や高血圧症などの生活習慣病を合併していることも多く、治療が必要です。
 さらに脳の損傷により、入院中に肺炎や食事摂取困難、排尿困難、うつ状態、せん妄、関節炎、転倒などの問題が起こりえます。
 このような症状はリハビリテーションの治療を阻害することになります。これらに対し、検査・薬の処方や臓器別専門医への相談など、医師の診断治療が重要になります。
 また様々な検査から、障害の診断とリスク評価、予後予測を行い、毎月のカンファレンスでリハビリテーションチーム方針の統一を図ります。
 自宅へ帰ることを目指し、患者さんとご家族に説明や相談を行っています。

理学療法士

「歩いて家に帰ることを目指して」
起きる・立つ・歩くなどの基本動作ができるようになることを目指します。1人で歩けるように、早くから補装具を活用しています。歩けない人には、免荷装置(体を吊り下げる装置)と歩行練習装置(トレッドミル)を併用しながら歩行練習をすることもあります。また理学療法室のみならず、自宅の生活でも安全に歩けるように、段差やまたぎなど応用的な歩行練習も積極的に行います。早く歩いて家に帰れるように理学療法を展開しています。

作業療法士

「ハートフルなサポートをします!!」
作業療法の目標は、ご本人らしい生活の再構築です。本人らしい生活とは“したい作業(生きる・楽しむ・遊ぶ・働く・学ぶなど)” ができることです。すばらしい生活・作業が実践できるようお手伝いします。

言語聴覚士

「笑顔づくりのお手伝いをします」
 話すことに障害を持った方が、うまく気持ちを伝え、コミュニケーションをとることができるように言語訓練に取り組んでいます。また飲み込みに障害のある方には、飲み込みの状態を検査し、医師とともに検討会を行っています。
 一人一人にあった訓練内容を立案し、人によって必要不可欠である「食べること」を支えています。

管理栄養士

「病状に合わせて栄養学に基づいた食事を提供します」
適切な栄養がなければ身体を動かすことはできません。栄養面からリハビリテーションのお手伝いをさせていただきます。口から食べることが困難な患者さんには食事内容、形を工夫し、きめ細かな対応で、より安全に嚥下リハビリテーションが進むようサポートします。

医療ソーシャルワーカー(MSW)

「一人で悩まず、お気軽にご相談ください」
病気やけがをきっかけに起こる生活についての心配事は、医療ソーシャルワーカーが相談に応じます。退院後の生活や介護への不安、経済的な問題から各種社会保障制度について、どんなことでも相談ください。患者さん、ご家族の秘密は守ります。医療チームの一員として、医師をはじめとする医療スタッフや地域の関係機関等と連携をとりながら対応いたします。

看護師

「退院後の生活を見据えて看護します」
患者さんやご家族の意向を取り入れながら、退院後の生活に向けた日常生活動作(トイレ・更衣・食事など)の支援や精神的サポートをしています。また、訓練室で獲得した動作を実際の日常生活の場面で活かせるように、個々の段階に応じた看護計画を立て支援しています。患者さん一人一人の全身管理・安全管理を行いながら、24 時間寄り添った看護を提供しています。

看護助手

「患者さんの「できる」を支えます」
個々の患者さんの状態にあわせた生活援助を中心に、安心・安全に過ごせるよう努めています。また、看護師と共に訓練室で出来るようになったことを日常生活の中で行えるよう援助しています。日中の活動性の向上とリズムを整えるため、積極的に病棟レクリエーションに取り組んでいます。

薬剤師

「薬のご説明をして、不安や疑問にもお答えします」
患者さんに、安全でより効果的に薬を使用していただけるように、履歴による薬の飲み合わせや副作用歴・検査データなどを確認しています。さらに医師や看護師などと協力し、副作用の回避や軽減に努めています。また、患者さんに安心して薬を服用していただくため、薬の効果と副作用について説明し、薬に対する不安や疑問にお答えしています。

歯科衛生士

「口腔内の環境を整えます」
お口の中を清潔に保つことは、歯周病予防につながります。近年、歯周病は肺炎や糖尿病、心疾患などの全身疾患にも影響を及ぼすことがわかってきました。患者さんのお口の状態を把握し、口腔内環境を整え、「歯周病予防」「食べる」「話す」「笑顔」の一助となるように努めます。

入院から退院までの流れ

回復期リハビリテーション病棟では、制度で定められている範囲内で、患者の皆様の目標(ゴール)と入院期間設定を行います。各専門スタッフが、患者さんの退院後の生活に焦点をあてて、総合的に係わります。また、患者さんやご家族様の意向に沿って、安心して退院ができるようお手伝いします。

入院
◎入院時評価
ADL(日常生活動作)およびコミュニケーション能力等について評価し、安全対策を計画します。必要に応じて、退院後生活するご自宅等に伺い、住環境を評価して、入院中のリハビリテーションに活かします。
入院から1週間
◎多職種カンファレンス
入院から1週間以内に、各専門スタッフが協同で評価結果を検討し、治療プログラムと退院計画(期間設定)を立案します。
ご本人・ご家族への説明
リハビリテーション科医師より多職種カンファレンスの結果をご本人・ご家族へ説明します。ご本人・ご家族といっしょに治療プログラムと退院計画を見直し完成させます。
入院から1ヵ月ごとに
◎多職種カンファレンス
入院から1ヶ月ごとに各専門スタッフが協同で、それまでの治療の成果を検討し、治療プログラムと退院計画を見直していきます。
退院前の説明
退院後の生活が円滑に行われるように、必要に応じて、地域カンファレンスや家屋調査を行い、住宅改修と日常生活動作の方法についてアドバイスします。
退院