NASVA委託病床管理責任者よりご挨拶

宗本ナスバ写真

NASVA委託病床開設にあたって ― 交通事故で意識不明の方のために ―

 交通事故で意識不明の状態になられた方のために長期に入院治療を行えるナスバ病床が2019年1月18日より当院に開設されました。
 車やバイクが関係する事故で脳を損傷し、重度の意識障害(いわゆる遷延性意識障害)となられた方を対象に意識回復の可能性を追求しながら適切な治療・リハビリテーション、看護を行う専門の病床です。
 複数の専門職によるチームで対処し、定期的なカンファレンスなどにより一人一人に合った関わり方や方針を共有し、対処してゆきます。
 きめ細かい態勢でわずかな意識の回復の兆しもとらえることができるように取り組んでゆくことになります。基本的には同じ看護師が一人の患者さんを継続して受け持つプライマリーナーシング方式の看護体制を導入してゆきます。
 入院期間は長期と短期があり、長期では概ね3年間となります。入院中に退院後の生活に向けたサポートを行います。また、各種保険のほか公的助成も使えます。短期入院ではナスバ療護施設の退院者を含め、在宅介護を支援するための2 ~ 14日間の入院を予定しています。
 救急医療の進歩などで交通事故死は減っていますが、重い後遺症を抱える人は後を絶ちません。家族は介護などで精神的、経済的、肉体的な負担を強いられてゆくことになります。
 このような状況に対し、交通事故防止と被害者支援を通して安全、安心で快適な社会を目指している独立行政法人自動車事故対策機構(略称NASVA ナスバ)がナスバ病床というものを全国に開設してきました。
 既存の療護施設が、自宅から地理的に遠いことなどにより入院を断念している被害者家族がおられることから、日本海側初の施設として当院に委託開設されることになったものです。
 下図のように国内にはまだ空白地域が広くみられます。担当職員一同、既存のナスバ療護施設への訪問、研修を終え、入念且つ十分な受け入れ態勢を整えています。

ナスバ全国図

NASVA委託病床とは

 自動車事故で引き起こされた脳障害で重度の後遺障害(意識障害)が残った患者さんに対して、適切な治療と看護を提供するための専門病床です。当院のNASVA委託病床は日本海側初の小規模委託病床(5床)として運営を行っています。リハビリテーションにより最大限の改善を図り、高度先進医療機器を装備、療養環境に配慮し、モニタリングシステム採用、1人の患者さんに対し同じ看護師が継続して受け持ち、質の高いチーム医療で患者さんとご家族を支える病床です。

人工呼吸器を装着された方、小児(15歳以下)の入院はお受けすることができません。
詳しくはMSW(相談員)にご相談ください。

看護体制について

 患者さんが入院してから退院するまでの全期間を1人の看護師が受け持ち看護計画・ケアの実施・評価を行うプライマリーナーシング体制を採用しています。患者さんの生活過程を知り、睡眠・覚醒リズムを確立させ、五感を刺激し、1日の変化、季節の変化を感じるなど快刺激に繋がる援助方法をご家族と共に考え、行っています。NASVAイラスト

1日の流れ

当病床では1人の患者さんに対して同じ看護師が継続して受け持つプライマリーナース方式を採用しケアにあたっています。その他にも、状態にあわせたリハビリテーションや療養環境に対する配慮などにより質の高いチーム医療で患者さんやご家族を支えています。
 患者さんに対するケアプランは、プライマリーナースが中心となり立案し日々のケアに取り組んでいます。ケアプランを立てる上で重要なことは「患者さんの入院前の生活過程を知ること」です。少しでも入院前に近づけ、その人らしい生活を送っていただくため、好みの音楽やテレビ番組の鑑賞などを取り入れています。これら視覚や聴覚による刺激以外にも、嗅覚・味覚・触覚の五感をすべて刺激することで1日の変化や季節の変化を感じるなど快刺激に繋がるケアを提供しています。
 1日のスケジュールに関しては、患者さんやご家族の意向を汲み取った上で、車椅子への乗車、食堂での食事摂取、手浴、足浴など、個々の患者さんに合わせた日課表を作成し、病棟リハビリやレクリエーションを行っています。これらの取り組みをチーム一丸で取り組むことにより、入院時よりADLは拡大されてきています。
 これからも患者さんやご家族の些細な変化に着眼し、日々の関わりの中でその人らしく過ごしていただけるようスタッフ一同、諦めない医療の提供に努めていきます。

一日の流れ

ご連絡先

地域医療福祉部:076-246-7810