くも膜下出血

くも膜下出血とは?

脳表を被う薄いくも膜と脳のあいだのスペース(くも膜下腔)に出血した状態をくも膜下出血といいます。

くも膜下出血とは01

くも膜下出血を起こす病気は色々ありますが、成人では8割以上で脳動脈瘤破裂が原因です。動脈瘤は動脈の壁の弱い部分が風船状に膨らんだものです。(下図)

くも膜下出血動脈瘤図01

くも膜下出血動脈瘤図02

 

動脈瘤の壁の最も弱い部分(ブレブ)から出血が起こり、一瞬にくも膜下腔に広がります。精神的緊張、興奮、力みなどによる血圧上昇が動脈瘤破裂の引き金と考えられています。それまで健康な人が突然倒れる恐ろしい病気として良く知られるようになりました。
突然起こり、持続する激しい頭痛がくも膜下出血の最も特徴的な症状です。頭痛は短時間で頭全体に及び、嘔気や嘔吐を伴います。通常、手足の麻痺は起こりません。 出血がひどいと、そのまま昏睡におちいり、死に至ります。 出血が軽いと、頭痛は数日のうちに軽減し、風邪と診断される場合があるので注意が必要です。

診断

くも膜下出血が疑われたなら、先ずCT断層撮影を行います(図1)。これで診断できない場合は、腰椎穿刺(ようついせんし:腰椎間から脊髄腔へ針を穿刺して、脊髄液を採取したり麻酔薬などを注入したりすること。)を行います。これらの検査で、くも膜下出血と診断されたなら、MR血管撮影、CT血管撮影、あるいは脳血管撮影などを行って、脳動脈瘤の診断を行います(図2)。

くも_診断01 図1:頭部CTスキャン
くも膜下出血が矢印で示すように白く見える。

くも_診断02 図2:脳血管撮影(DSA)
脳動脈瘤が内頸動脈から発生している。

治療

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血では、可能な限り早期に動脈瘤をつぶし、動脈瘤からの再出血を防がなければなりません。動脈瘤を根治させるには、開頭して動脈瘤を直接つぶす方法(脳動脈瘤クリッピング術)と血管内から動脈瘤内にコイルを詰め、動脈瘤を血栓化させる方法(血管内治療)があります。 いずれの方法にも一長一短があります。これらの治療法の使い分けは現在でもまだ確立されてはいませんが、当院では
  • 動脈瘤が破裂か?未破裂か?
  • 破裂の場合、急性期か?慢性期か?
  • 動脈瘤の大きさと部位
  • 患者の年齢と基礎疾患
などのことから総合的に判断しています。

脳動脈瘤クリッピング術

開頭して動脈瘤の首に小さなクリップをかけて、動脈と動脈瘤の間を完全に遮断する方法(下図)

血管内治療

動脈内を動脈瘤までカテーテルを進め、血栓化を促進する極細コイルを瘤内に詰める方法。(下図)

両者の決定的な違いは、頭を開くか開かないかであり、処理を動脈瘤の外から行うか内から行うかです。いずれの方法をとるにせよ、それぞれに異なるリスクがあります。また、どちらの治療も術者の技術と経験がものをいうことに変わりはありません。従って、十分な説明と同意のもとに治療が行われなければなりません。

くも膜下出血手術

くも膜下出血の続発症

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血では、再出血の防止のため早めに動脈瘤処理が必要です。しかし、動脈瘤の処理が無事済んでも、さらに次の問題を克服しなければなりません。

脳血管れん縮

これは脳動脈が縮む現象を言います。(下図)

脳血管れん縮01

脳血管れん縮02

a:くも膜下出血発症日の脳動脈。
b:約1週間後に著しく細くなった脳動脈(血管れん縮)

動脈が細くなり過ぎると脳血流が低下し、脳梗塞が起こります。血管れん縮は出血後約1週間で発現し、2、3週間で自然に消失します。この間、大きな脳梗塞が発生すると、後に後遺症が残ります。脳血管れん縮を予防する薬はありません。現在、点滴で血液量を増やしたり、血圧を上げたりして脳血流を維持する治療が行われています。

正常圧水頭症

出血後1カ月位たって起こります。これは脳室(脳内にある液体の循環する部屋)の中に液体が貯溜して、脳室が拡大し、精神機能障害や歩行障害が進行する病気です。これに対しては脳室腹腔シャント術(脳室から腹腔へ貯留した液体を誘導する手術)が行われます。手術で脳室の大きさは正常になり、症状は消失しますので、心配はいりません。

正常圧水頭症01

正常圧水頭症02

 

a:脳室が拡大している(正常圧水頭症)
b:脳室腹膜シャント術後、脳室の大きさは正常化している。

これらがくも膜下出血の主な続発症です。

 このページは以下に掲載された記事より抜粋して再掲したものです。
平成14年7月29日発行ふれあい第7号脳神経外科講座より
平成14年10月28日発行ふれあい第8号脳神経外科講座より
平成15年1月30日発行ふれあい第9号脳神経外科講座より

 

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