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脳神経外科Q&A

健康な成人を突然に襲い、死亡させるくも膜下出血について少し詳しく教えてください。
 くも膜下出血の原因の80%以上は脳動脈瘤(動脈の風船状の膨らみ)です。通常、脳動脈瘤は破裂するまで症状はありません。緊張や興奮などが引き金となって動脈瘤は破裂し、この病気に特徴的な突発性の持続する激しい頭痛を起こします。この病気の20%は急死します。運良く急死をまぬがれても、 1週間以内に出血を繰り返し、重症化することが少なくありません。この病気の患者を適切な治療のできる脳神経外科施設へ速やかに移送することが救命の第一歩です。
腰部脊柱管狭窄症と診断されました。この病気の特徴と治療法について教えてください。
 腰部脊柱管狭窄症(以後、本症と呼ぶ)は腰椎の中で神経が圧迫されるために起こる病気です。間欠性跛行と呼ばれる歩行傷害が本症の特徴です。この歩行障害は、歩くと下肢にしびれや痛み、脱力が出現するため歩けなくなりますが、休むと症状は速やかに改善するため再び歩き出せます。しかし、また休まなければならないということを繰り返えします。一方、椎間板ヘルニアのように坐骨神経痛が出現することもあります。椎間板や骨、靭帯の年齢的な変化が本症の原因のため、老年期に多く発症します。本症の診断は、脊髄造影やCTスキャン、MRIなどで行います。病状が進行すると歩行障害高度となり、日常生活に不自由をきたすため手術治療が必要になります。手術では手術顕微鏡下に丁寧に神経の圧迫を取り除きます。手術効果は優れており、手術合併症は殆どありません。術後1~3日で歩けますので、病状の進んだ方では手術治療が推奨されます。
腰椎椎間板ヘルニアと診断され、腰痛を繰り返してきました。最近、右のお尻から太ももにかけて痛みが強くなり、仕事に支障をきたしています。治療法についてお願いします。
椎間板ヘルニアが腰痛のみの段階から坐骨神経に影響を出す次の段階に進んだものと思われます。本症の治療法には保存的治療と手術治療があります。最新のMRIの診断精度は極めて高く、椎間板ヘルニアのタイプや腰神経への影響程度が正確に評価できます。そのため、保存的治療で良いのか、手術治療が必要なのかの判断が早期に可能です。通常、軽い椎間板ヘルニアなら、2~4週間の保存的治療で痛みはほぼ消失します。それ以上に痛みが持続し、ヘルニアによる腰神経への影響が強い場合には、手術治療が適応になります。近年、MD法と呼ばれる2㎝弱の切開で、手術顕微鏡下にヘルニアを摘出する低侵襲手術が普及しています。手術時間は約1時間、出血量は10cc前後、手術翌日から歩行を開始し、1~2週間で退院できます。仕事への早期復帰も可能です。腰椎椎間板ヘルニアの手術は熟練した専門医の手によるなら、極めて安全な手術になっています。保存的治療が長引いているのなら、専門医にご相談ください。
1年前から両手のしびれが強くなり、最近、手の使いにくさを感じます。検査を受けたところ、頸椎後縦靭帯骨化症と診断されました。どのような病気なのかと治療法についてお聞かせください。
頸椎後縦靭帯骨化症は、頸椎を後面から支える後縦靭帯が原因不明で異常骨化し、脊柱管の狭窄を起こして、その中を通る脊髄や神経根を圧迫障害する病気です。特定疾患の指定を受けている難病です。骨化巣が厚くなると、脊髄・神経の圧迫が強くなり、先ず手のしびれや使いにくさが現れ、次第に歩行障害も生じるようになります。極端に進むと、排尿・排便の障害さえ起こります。通常は、極めてゆっくりと進行しますが、椎間板ヘルニアの合併や、外傷によって急性に脊髄・神経根症状が発現することがあります。診断はレントゲン撮影やCT、MRIで行います。骨化の範囲や程度、さらに脊髄・神経根の圧迫程度などが治療を決める上で重要です。胸椎や腰椎にも骨化症を伴うことがあります。脊髄・神経根の障害を防止し、症状の改善をはかるためには手術治療が必要です。手術は頸椎の前方から骨化巣を摘出する方法と、後方から骨化巣には手をつけずに脊髄の入っている脊柱管を拡大する方法があります。いずれの方法をとるかは、専門的な判断が必要です。手術治療は、脊髄・神経機能の回復性の残っている時期に考えるべきでしょう。詳しくは、脊椎専門医にご相談ください。
最近脳ドックという言葉を聞きますがこれについて教えて下さい。
脳卒中は普通は前触れもなく襲ってくるため早期発見ということはできません。しかし、なりやすい体質(危険因子)を改善することにより発症を減らすことは可能です。一般的な人間ドックでは脳内あるいは脳の血管についての検査は行いませんが、この検査を行うのが脳ドックです。脳ドックでは、MRIを用い、脳内に症状のでなかった脳梗塞(脳血栓)や出血の痕跡がないかを調べ、さらに頭蓋内、あるいは頸部の動脈に狭窄などの異常がないかを見ます。特にくも膜下出血は健康な人を突然襲いますが、この脳ドックで脳血管に動脈瘤(どうみゃくりゅう)と呼ばれるくも膜下出血の原因となる血管のふくらみがないかどうかを調べる事も大事です。万一動脈瘤が見つかった場合には、処置をすればくも膜下出血は未然に防ぐ事が可能です。さらに普段健康診断をあまり受けない方には高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、心電図の異常などがないかの検査も合わせて行います。これらに危険因子を治療することにより脳卒中になる危険性をかなり下げることが可能になります。
朝、目覚めた時に右指にしびれがあります。間もなく治るのですが、繰り返すので心配です。昼間にはしびれは殆どありません。
年齢と女性であること、朝方の一時的な手のしびれであることから、手根管症候群が最も疑われます。本症は中年の女性に多く、夜寝ている時や、朝起床時に手指にびりびりしたしびれ感を自覚します。初期には、一時的なしびれですが、進行すると日中でも灼熱様の痛みを感じるようになります。さらに、物をつまみにくい、落とし易いなどの症状も現れることがあります。本症は母、示、中指の指先の感覚や、母指を内側に曲げる運動に関係する正中神経が手根管内で圧迫されて起こります。手根管とは、手首から手の平にかけて存在する正中神経や動静脈、腱などの通る、骨と横手根靭帯に囲まれたトンネルです。主に、横手根靭帯が厚く、硬くなることによって発症しますが、ガングリオン、関節症、リューマチ、アミロイドーシス(透析患者さんに多い)などの関係することがあります。類似した症状を出すものには、頚椎症などの脊椎疾患や糖尿病性の末梢神経障害などがあります。治療は、局所安静やステロイドの局注、消炎鎮痛剤の服用などです。進行した場合には、手術治療が必要です。手術は手の平に1.5~2cmの小切開を加えて、肥厚した横手根靭帯を切離します。日帰り手術も可能です。
数ヶ月前から右側の眼と口の周りが時々ひきつるようになりました。脳卒中の前兆でしょうか?
片側顔面痙攣(けいれん)のように思われます。顔の表情筋が無意識に動いてしまう現象が通常右か左の片側だけに生じ、緊張すると強くなる傾向があります。この病気は脳卒中とは全く関係のないものです。顔面神経と呼ばれる顔の表情筋を支配する神経が頭蓋内で動脈と接することにより動脈の拍動の刺激が神経に伝わってしまう為に起こる現象です。放置しても生命や身体機能に影響をおよぼすことはありませんが、人前で顔が引きつってしまい社会生活が制限されることもあります。治療としては、耳の後ろを小切開し、顔面神経と接している動脈を神経から離す手術を行えば多くの場合根治的に治せます。手術が困難な場合、ボトックスと呼ばれる特殊な薬剤を痙攣を起こしている筋肉に直接注射し症状をおさえることも可能です。効果は数ヶ月程度ですが手技が簡便ですのでくり返し処置を行なうことは可能です。
数日前急に左眼だけ暗く見にくくなり、数分で元に戻りました。眼科では異常なしといわれました。
一過性単眼性黒内障と呼ばれる病気である可能性があります。この病気は脳卒中の一種です。頚動脈の一部に狭窄があるとそこに小さな血液の塊ができ、それが眼動脈と呼ばれる血管に流れ込むことにより視力が低下します。その血液の塊が溶ける事により血流が回復し、視力が回復します。この病気自体は一時的な症状でおさまりますが、恐ろしいのは本格的な脳卒中に移行する場合が少なからずあるからです。頚動脈の狭窄部に生じた血液の塊が脳に流れ込めば脳血管を閉塞し手足の麻痺や言語障害を生じる事もありますし、狭窄が進んで完全に閉塞してしまい大きな血流障害に発展する事もありえます。早急に脳血管撮影のできるMRIを持つ病院を受診し、動脈の状態を調べてもらう必要があります。狭窄が見つかった場合、薬物治療でよいか、狭窄部分を広げる手術が必要かどうかを検討しなければなりません。
75歳の父が3ヶ月程前に脳梗塞で左半身麻痺になりました。血栓溶解療法というのがあるそうですが、父にも有効でしょうか。
残念ながら、血栓溶解療法の適応はありません。
脳梗塞は脳の血管が途絶えたために脳組織が壊死する病気です。神経細胞は一旦壊死すると再生することはありません。そのため壊死が始まる前の発症超早期に血流を再開させる必要があります。その時間の限界が発病してから4.5時間です。この時間を過ぎると出血を起こす危険性が極めて高くなります。血栓溶解療法は、発病時間がはっきりしていてすぐに病院に搬送されないと行えません。治療が奏功すると症状がすみやかに改善しますが、慢性期には血栓溶解しても症状の改善はありません。リハビリテーションを積極的に行うことが重要ですが、再発予防のための治療が行われます。
手術が行われることもありますが血小板の機能を抑制したり血圧のコントロールを行うことなど長期間の治療が必要です。

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