■トップページ>>■トピックス【当院の掲載記事のご案内】>>■雑誌

◇サイトマップ◇ ◇椎間板ヘルニア治療の金沢脳神経外科病院 トップページ◇

 

■最新医療経営 No.251■

職員が満足できる職場づくり
データ収集が風土改革の出発点
目標は「日本有数の脊椎外科病院」

  医療法人浅ノ川(小市政男理事長)は、浅ノ川総合病院など5病院、1施設を運営している。グループ病院のひとつ、金沢脳神経外科病院(佐藤秀次院長、220床)の谷寛憲事務長は、院内各部署から集めたデータをもとに現状を把握し、院内の運営改善を進めてきた。谷事務長がめざすのは、「職員が満足できる職場づくり」だ。

  谷事務長が金沢脳神経外科病院に入職したのは2001年2月。同院はこの4年間、医業収益向上を実現し、今ではグループ内でも屈指の経営成績を誇るまでになった。「自分たちの病院を良くしていくためにはどうすべきか。職員は皆、一所懸命考えてくれています」と同事務長は話す。
昨年度の平均在院日数は12.8日と、00年度(20.1日)此で7.3日短縮した。この間、病診、病病連携を同時に進め、昨年度には県内の303の診療所や病院が連携協力登録医療機関に加わった。これに伴い、新入院患者数は938人から1320人と1・4倍に跳ね上がった。年間救急車搬送台数も昨年度には616台と、 00年の356台から1.8倍増。このため急性期病棟の昨年度の病床稼働率は、在院日数の大幅な短縮にもかかわらず89.9%と、01年度(82.3%)から7.6ポイント上昇している。昨年度には過去最高の医業収益を計上。この4年間で一気にグループの優良病院に変貌した。
  特殊疾患療養病棟の算定を開始したことも増収の大きな要因だった。人職当初、2病棟あった介護保険適用療養病床を01年9月に医療保険適用へ切り替え、さらに翌年4月には、そのうちの1病棟を特殊疾患療養病棟に転換させた。脳神経外科の単科病院だけに、急性期後でも後遺症を抱えるなど医療依存度の高い入院患者が多かった。対象疾患患者の確保がポイントとされる特殊疾患療養病棟でも、十分にやっていけると判断した。
病院の収支状況の改善を図る場合、ともすればコスト削減に走りがちだが、谷氏が進めてきたのはこの逆の発想からの改善策。「コスト削減よりもむしろ、どうすれば増収につながるか、われわれの病院で何ができるかを、あらゆるデータをもとに考えました」と話す。
  入職後、まずはそれまでは幹部だけに限られていた「管理者会議」に、看護部の主任以上のスタッフを参加させた。また同会議では、収支状況を示すデータを開示するようにした。各部署から実績データ収集を効率的に進めることや、最大の所帯である看護部の主任に経営意識を持ってもらうことで、病院全体の風土改革につなげることなどが狙い。「院長や事務長だけが経営を考える時代は終わりました。これからの変化に対応するためには、職員全体の智恵が求められる」と話す。

 


  谷事務長が最も重視するのは、風通しの良い職場づくり。
「スタッフの成果を正当に評価することで、病院全体の活性化につながります」
  金沢医科大学の法人事務局で約二十数年勤務後、同大病院の企画室へ移り、病院の増改築に伴う基本構想の立案などに携わった。病院現場の業務を経験したのはこの時が最初。
「病院のことをまったく知らない素人。今考えると、無茶な人事でした(笑)」
医事課をはじめとする各部署から教わりながら病院の仕事を一から勉強し、その後の6年間、経営分析や企画などの業務に取り組んだ。現場職員とのコミュニケーションを重視するスタンスはこの時期に身につけた。運営方針を決める判断材料となる院内の各種データは、現場の協力のうえで入手するしかないからだ。平均在院日数短縮などの厚生行政の動きや地域特性、院内の機能を念頭に、新病院の適正病床数を700床と弾き出した。提言は受け入れられた。
その後、大学に戻った頃に金沢脳神経外科病院から事務長就任の要請があった。「職貞が満足し、働きがいのある職場をつくりたい」が誘い文句だった。共感し、要請を受けた。新しい職場でも、まずは人間関係づくりから始めた。管理者会議の改革もその一環で、計画立案の基礎となるデータを収集するためには、円滑なコミュニケーションが不可欠という考えがある。
今後は脊椎疾患の診療にも注力する方針。「個人的な意見」と前置きしたうえで谷事務長は、「今後は日本有数の脊椎外科病院にしていきたい」と話す。02年には、「顕微鏡下椎間板ヘルニア切除術(Microscopic Discectomy:MD法)」を導入した。同術式では、従来の方法と比べて切開部や筋肉剥離が小さくて済むため、創部痛の軽減や早期離床が見込める。北陸だけでなく関東近県などからも患者が足を運ぶといい、昨年度の新患者全体に占める脊椎疾患患者の割合は19・7%と、前年度(8.5%)から一気に11.2ポイント増加した。椎間板ヘルニアなどに悩む潜在的な患者はどこの地域にもいる。また、これらの患者は脳疾患の患者と違い、他地域からの来院も期待できるとの読みもあった。
将来的には、単科病院では前例のない地域医療支援病院の申請も視野に入れている。目下のところ紹介患者数は増加しているが、同時に紹介以外の新患数も増加している。このため、紹介率をいかに向上させるかで、智恵を絞る日々でもある。それでも谷事務長は、「自分たちの提言が具現化される。病院の仕事はやりがいがある」と話す。
昨年7月にはグループ内の評価で理事長大賞を受賞した。その際に支給された「金一封」は、臨時ボーナスとして全職員に配った。谷事務長は「正当な評価が職員のモチベーションを引き出す」と話す。今後も職員が満足できる職場づくりをめざす。