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■Discussion■

リハビリを介した相互協力と患者本位の医療の実現
急性期ー回復リハだけでは解決できないリハビリ連携の実状
地域完結と施設完結それぞれのメリットを活かした連携を
入院時にも積極的な関わりが求めれる”かかりつけ医”の役割
充実した連携体制構築には薬剤を含めた情報の共有化が必要
医療の転換にあわせてMRの情報提供活動も変化を

司会:近年、脳神経外科領域でもリハビリテーションを介した連携が構築されようとしています。脳神経外科領域の連携は今どのような状況にあり、今後どういった方向に向かっていくのか、また、これからの課題などについて、各先生方には急性期病院、リハビリテーション病院、開業医というそれぞれの立場からお話しいただきたいと思います。
  まず、本題に入る前に各先生方の病医院の概況と地域の医療特性についてご説明いただきます。では、連携の流れに合わせて佐藤先生からお願いします。

佐藤:金沢脳神経外科病院は1980年に石川県野々市町という人口4万人の町に脳神経外科専門病院として250床で開院しました。当時は脳神経外科がどういう科なのか地域の人になかなか理解してもらえず、経営的には採算がとれない状況が5年くらい続きました。しかし、開業医の先生方からは脳神経外科専門ということ、地域にそのような病院がなかったことから、脳卒中関係、交通外傷といった患者さんの紹介を受けることができ、意識していたわけではなかったのですが、自然に周囲の診療所との連携がとれるようになっていました。
その後MRIの導入に伴って病床を減らし、現在、一般病床60床、療養病床160床の計220床を有しています。一般病床60床は急性期として運営していますが、なかなかベッドコントロールは難しいのが現状です。療養病床は54床を医療型の療養病床、106床を特殊疾患療養病棟にしています。療養病床では、急性期を過ぎてある程度落ち着いた患者さんに対し、在宅療養に向けた機能回復訓練などのリハビリを行っています。この療養病棟を回復期リハビリテーション病棟にしたいと考え、現在、準備を進めています。一方、特殊疾患療養病棟では、脳卒中の後遺症が大きく在宅や介護保険施設では療養が難しい患者さんを受け入れていますが、これは脳神経外科の性質上どうしてもそのような患者さんが発生すること、また、地域でそのような患者さんを頼める病院がなかったということが大きな理由です。
データ的なことを申しますと、2003年10月末現在の1日平均入院患者数は200人、平均外来患者数は96人となっており、逆紹介を進めていることから、当初130〜140人いた外来患者は今では100人を切っています。病床稼働率は一般病床が86.8%、療養病床が92.6%。一般病床の平均在院日数は14.1日、紹介率は28.6%です。紹介率については30%を超える月もあるのですが、新患も非常に増えていることから、30%前後を行ったり来たりという状況になっています。

司会:次に米満先生お願いします。

米満:熊本機能病院は1981年に開院し、現在410床を有します。当時は整形外科と神経内科を標榜し、リハビリテーション科はまだありませんでしたが、救急からリハビリまでの一貫した治療体系を確立したいという考えは当初からありました。というのは、日本のリハビリテーション医療はいわゆる温泉に併設されたリハビリテーションセンターとしてスタートしたため、昭和40年代は一貫したリハビリテーション医療が構築されていませんでした。そのため、その後どんどん寝たきり老人を作ってしまった。ですから当院ではリハビリテーションを中心とした機能障害に取り組もうということで開院し、現在、回復期リハビリテーション病棟を2病棟100床持っています。経営的に見ますと、リハビリに関しては最初は採算がとれませんでした。しかし、これは絶対に必要なものだと考え進めていきましたら、1986年にリハビリテーションセンターを作った時に診療報酬でリハビリの点数が上がり、ようやく採算がとれるようになりました。
  また、法人としては、老健施設、在宅支援のための地域ケア支援センター、特養、リハビリテーションクリニック、ケアハウスも開設していることから、当院は施設完結型の面を持ち合わせでいます。しかし、それぞれの施設の場所はバラバラで、地域のいろいろな施設との連携をとっていることから、ある面は地域完結型、ある面では施設完結型と両面を使い分けながらやっています。

司会:それでは中山先生お願いします。

中山:私の場合は個人の医院ですが、クリニックを開院する前は国立大阪病院で脳血管障害を専門に急性期からリハビリまでをやっていました。しかし、急性期病院では急性期が過ぎるとすぐに患者さんを退院させてしまうこと、また、ちょうど病院が外来のリハビリを減らすという方針をとっていたため、退院後患者さんが十分にリハビリを受ける場所がなかったことから、自分でリハビリのできるクリニックを作ろうと一般内科と作業療法を通院と訪問で行うクリニックを開院したわけです。
現状としては開院してまだ2年半ですので、通院でリハビリを受ける患者さんは毎日午前中6人前後で、昼からは2、3件訪問リハに行っています。大阪の開業医の診療時間は、午前中診療して午後は休み時間とし、夕方5時頃からまた診療を始めるというパターンが多いのです。ですから午後の空き時間を利用して訪問リハや往診に行くわけです。あとは、一般内科で一般的な疾患を診ています。脳卒中という観点から言えば予防から始まって再発予防というところまで一貫して診ています。
連携については、急性期病院に電話一本で入院できる状態になっており、幸いこの地域はいくつかの脳卒中の急性期病院がありますので、その点はスムーズにいっています。退院の方は、リハビリ病院からこちらに紹介される場合と急性期病院から直接退院になって通院リハを受けるというケースがあります。訪問リハについてはケアマネージャーからの依頼が多いです。


●ベッドコントロール:入院患者のベッドを確保するために、患者の病状や空床の状況、入退院の予定状況などに応じて、病院のベッドを管理・調整すること。予定外の入院や退院予定日の延期などといった問題も多く、特に入退院のサイクルが早い急性期病院では労の多い業務となる。一般的には病棟の看護師長が担当するケースが多い。
●医療型の療養病床:療養病床のうち、医療保険の適用となる病床のこと。
●特殊疾患療養病棟:診療報酬上で設定されている病棟で、長期療養が必要な脊髄損傷等の重度障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者などを入院させるための病棟。同病棟で算定する特殊疾患療養病棟入院料(特定入院料の一つ)には、投薬や注射、検査、画像診断、処置などが包括されている。一般病棟や療養病棟(一部、精神病棟)が対象となるが、回復期リハビリテーション病棟と同様に、医療型の療養病床が果たすべき新たな機能として、注目を集めている(「特定入院料はやわかりマニュアル」16頁参照)。
●回復期リハビリテーション病棟:診療報酬上で設定されている病棟で、寝たきり予防や早期の自宅復帰を図る観点から、脳血管疾患、大腿骨頸部骨折の患者に対して、回復期リハビリを集中的に行う病棟。対象は一般病棟と療養病棟となる。同病棟でのリハビリテーション医療を評価した「回復期リハビリテーション病棟入院料」(特定入院料の一つ)は入院後180日以内に限って算定できるが、リハビリ以外の費用はすべて包括されている。「医療保険適用で残れる療養病床」の一つと言われており、療養病床を有する病院経営者の注目が高い病棟である「特定入院料はやわかりマニュアル」13頁参照)。
●逆紹介:診療所等から病院へ患者が送られる通常の「紹介」に対し、病院から地域の医療機関へ患者が紹介されること。
一般には、急性期病院から地域の診療所や中小病院に患者が紹介される場合を指すことが多い。紹介患者を紹介もとの診療所等に帰す「∪ターン」、直接病院に来た患者を地域の診療所等に紹介する「lターン」、紹介患者を紹介もと以外の診療所等に紹介する「Jターン」の3パターンがあるとされる。医療連携を進め、医療連携を進め、紹介率向上を図る急性期病院にとって「∪ターン」はもはや常識であり「l夕ーン」により力を入れるケースが多くみられるようになっている。
●当初130〜140人いた外来患者は今では100人を切っています:機能分化により、病院の役割が「入院医療中心」へとシフトしている現状で、多くの急性期病院では、通常の外来患者を減らす努力をしている。通常の外来患者を地域の診療所へ任せることにより、紹介患者や専門医療が必要な患者など、急性期病院が本来診るべき患者に、より経営資源を投入できるとともに、経営的にも採算性を高めることができる。
● 病床稼働率:「延べ入院患者数/延べ稼働病床数×100」で算出される数値で、病院の入院機能を計る指標の一つ。この数値が低いと空きベッドが多いということであり、一般に80%を下回る場合は、需要の低下など何らかの問題があるとみられる。ただし、あまりに稼働率が高すぎると救急患者の受入などで問題が生じる場合もあり、急性期病院の経営者にとって病床稼働率のコントロールは重要な問題となる。
●紹介率:初診患者に占める他の医療機関からの文書による紹介患者の比率を指す。急性期病院の経営を語る上で重要な指標の一つであり、急性期入院加算等の診療報酬を算定するためには、この比率が30%以上であることが条件となり、地域医療支援病院の承認を受けるためには、「地域医療支援病院紹介率」が80%以上(暫定的に60%以上でも可)であることが必要。ちなみに、一般の紹介率と地域医療支援病院の紹介率は計算式が異なる(下記参照)。
・ 通常の紹介率(%):(文書による紹介患者数+救急車で搬送された患者数)÷初診患者数(時間外・休日・深夜に受診した6歳未満の患者を除く)×100
・地域医療支援病院の紹介率(%):(文書による紹介患者数+救急患者のうち緊急的に入院治療を必要とした患者数)÷初診患者数×100
※特定機能病院についても独自の紹介率算定式があるが、ここでは割愛している。
●老健施設:介護老人保健施設。従来は老人保健施設と呼ばれ、老人保健法に基づく高齢者の療養施設とされていたが、2000年の介護保険制度開始により、介護保険法に基づく要介護者の療養施設となった。寝たきりやそれに準じる高齢者に対してリハビリや療養を提供するが、原則的には介護やリハビリによって「家庭復帰できる可能性のある高齢者」が対象となる。
●地域ケア支援センター:要介護高齢者の増加と介護保険の施行により、高齢者介護のための様々なサービスを提供するセンターを設置する病院も増えてきた。熊本機能病院の寿量会では、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリ、居宅介護支援(ケアプラン作成)等を行う地域ケア支援センターを有している。
●特養:特別養護者人ホームのこと。介護保険の指定を受けた施設は、「指定介護老人福祉施設」となる。常時介護が必要な寝たきりや痴呆性老人の生活の場と位置づけられており、介護保険の入所サービスの中では、最も介護的要素の強い施設とされる。
●ケアハウス:介護利用型と呼ばれる軽費老人ホームの一形態。軽費老人ホームとは、家庭環境、住宅事情等の理由により自宅で生活することが困難な老人に対し、低額で日常生活上必要なサービスを提供する施設で、食事提供のある「A型」、自炊が原則の「B型」、要介護高齢者の生活に適した配慮がなされホームヘルパーなど在宅介護サービスも利用できる「ケアハウス」の3種類がある。
●施設完結型:患者の診療・治療を一つの医療機関で完結するという考え方。
●地域完結型:患者を疾病の状態・種類や治療ステージごとに分け、それぞれを別の医療機関が役割分担することにより、地域全体で医療を完結していこうという考え方。
●作業療法:身体や精神に障害を有する患者に対し、応用適用能力・社会適用能力の回復を図るため、日常的な生活に密着した訓練を行う療法。一般的には日常生活動作訓練、住宅改造や福祉機器に関する助言などが行われることが多い。
●訪問リハ:訪問リハビリテーション。通院が困難な患者宅に理学療法士や作業療法士が訪問し、機能回復訓練や応用的動作訓練などを行うこと。医療保険、介護保険ともに報酬設定されているサービスだが、要支援者・要介護者に対する訪問リハビリテーションは、原則介護保険の適用となる。



司会:一口に連携といっても、医療機関のおかれている状況によってその在り方は様々です。熊本市は急性期に特化した病院が多く、連携が進んでいることで有名ですが、熊本機能病院ではどうでしょうか。

米満:当院は連携でも特に脳卒中における連携に取り組んでおり、金沢脳神経外科病院のような救急をやっておられる急性期病院と連携して脳卒中患者を受け入れています。ですから、回復期リハ病棟の入院患者は約70%が脳卒中で、残りの30%が整形患者となっています。

司会:各病院から送られてくる患者さんの状態はやはり違うのですか?この病院は早期に送られてくるが、別の病院からはちょっと遅いとか。

米満:それはありますね。早いところでは10日で送ってこられますが、中には2カ月以上経っていて、これは少し遅いのではないかと思うこともあります。

司会:平均だと何日くらいですか。

米満:だいたい3週間か1カ月くらいになると思いますが、だんだん短くはなってきています。

司会:患者さんを送る側の急性期病院として、佐藤先生はどうですか。

佐藤:当院は地域で受け皿となる病院が少ないという問題もあり、他の病院へ送るのではなくて自院の療養病棟でリハビリをしています。私のところも急性期病棟から療養病棟に移す時はだいたい2週間から3週間くらいですね

米満:回復期リハ病棟がないところでも療養病棟で充実したリハビリをされているところがありますよね。「回復期リハビリテーション」という言葉にこだわらなくても、状況に応じたメリハリのきいたリハビリができれば良いと思います。その中で回復期リハビリテーションは確立した立場と言えます。

司会:回復期リハ病棟は今注目を浴びている病棟で、各地域でぞくぞくと作られていますよね。

中山:大阪では地域リハビリテーション推進事業がここ2年くらい前にはじまりまして、2次医療圏ごとに中心になる病院を置いていますが、たいてい回復期リハ病棟を持っている病院が中核病院になって推進されています。

米満:リハビリテーション広域支援センターですね。

中山:そうです。大阪市内はまだその中核病院が決まっていないのですが、ほとんどの地域は決まっています。

司会:金沢ではどうですか。リハビリを熱心にされている医療機関は増えてきているのでしょうか。

佐藤:まだまだだと思います。多くの急性期病院は平均在院日数にこだわっていますから、リハビリなどをどこまで責任をもってやっておられるか私には見えないですね。急性期から回復期、そこから在宅というつながりが、まだシステムとしてきちんとできていないという受け止め方をしています。急性期病院は急性期だけで、「次のことは他の施設に考えてもらえばよい」という割り切りがまだあるものですから、医療機関と医療機関の間でなかなかスムーズに動けないという状況が現実問題としてあります。

司会:逆に地域での受け手となる中山先生はどうですか。

中山:急性期病院から直接在宅に帰られた患者さんへの対応が一番悪いように思います。急性期病院は退院後にようやくかかりつけ医に情報提供してくれますが、退院前にリハビリの手配をするとか、ケアマネージャーと入院中からコンタクトをとって在宅の準備をしてから退院させるということはほとんど行われていません。欧米では、"early supported discharge"といって、早期から支援された退院が試みられていますが、日本の場合は"early unsupported discharge"なんですね。まったく支援しないで放り出す急性期病院が多いのです。
急性期病院から回復期リハ病棟にスムーズに移行できる患者さんは3分の1程度で、残りの3分の2にあたる「比較的軽度の患者さん」と「非常に重度の患者さん」は、この流れから外れてしまっているのです。重症の患者さんは自宅に帰られて家族が奔走してなんとか動き出しますが、結局は寝たきりになるケースがほとんどです。金沢脳神経外科病院のように重症患者さんを受け入れてくれるところが大阪にはありません。回復リハ病棟はそんな患者さんは「うちでは回復しませんから」と受け入れてくれませんし、急性期病院も受け入れませんから結局行くところがないわけです。これは非常に大きな問題だと思います。他方、なんとか歩けて自宅で生活できる比較的軽度の患者さんは、回復期途上でありながら通院リハを提供されていない人が多いです。社会復帰までもう一歩だけど入院する程ではないという患者さんが困っておられます。

米満:もう一つの大きな問題は、急性期から回復期は医療保険の中で行われますが、いわゆる維持期に移る時には介護保険に変わります。そうしますと、医師は医療保険に関する知識はありますが、介護保険に関する知識が少ない。ですから手続だけでもたついて1カ月、2カ月はあっという間に過ぎていき、流れが止まってしまう。そうなると地域リハビリテーションにつがっていくところで足踏みしてしまうのです。私は"リハビリテーション医療"という言葉を使っていますが、リハビリ医療は治療としてのリハビリテーションと介護の中のリハビリテーションをうまく使い分けていかなければいけないと思っています。

中山:それに関して言いますと、先程のearly supported dischargeして在宅でリハビリを行うということを介護保険に委ねるのは無理があると思うのです。なぜなら、介護保険は「維持期の患者さんが機能低下を起こさない」という観点から作られていますので、例えば退院直後から集中的にリハビリをするというように、退院日から対応することは想定していないわけです。実際、要介護認定を申請して0.Kが出るのに2カ月くらいかかりますから、その間の空白期間はまったく対応できません。だからむしろ医療保険で退院直後をちゃんとカバーして在宅につなげるシステムを作って、その後、介護保険に引き継ぐというようにしなければスムーズな流れはできないと思います。

○連携の発展には大きな地域差が
→リハビリに限らず、医療連携の実情には、大きな地域差がある。近年、盛んに言われている「急性期病院と回復期リハビリテーション病棟の連携」についても、一般的と言えるほどには、定着してない。
○急性期病院と回復期リハビリテーション病棟の連携だけでは、全ての患者に適したリハビリを提供することはできない。
○リハビリの連携は在宅・介護保険まで見据えた展開が必要
→例えば脳卒中の患者が、すべて「急性期病院→回復期リハビリテーション病棟」という経路で治療を受けるかといえば、むしろそれは少数派。中山先生の指摘しているとおり、回復期リハ病棟だけでなく、急性期病院から直接在宅に帰った患者などをどのようにフォローしていくかが、リハビリ領域の連携における今後の大きな課題と言える。

 


●回復期リハ病棟の入院患者:回復期リハビリテーション病棟の入院患者は、対象が限定されている。具体的には、@脳血管疾患、脊髄損傷等の発症後3力月以内の状態、A大腿骨頸部、下肢または骨盤等の骨折の発症後3力月以内の状態、B外科手術または肺炎等の治療時の安静により生じた廃用症候群を有しており、手術後または発症後3カ月以内の状態、C前記に準ずる状態であり、これらの患者を8割以上入院させている必要がある(「特定入院料はやわかりマニュアル」13頁参照)。
●地域リハビリテーション:日本リハビリテーション病院・施設協会によると、その定義は「障害のある人々や高齢者およびその家族が住み慣れたところで、そこに住む人々とともに、一生安全に、いきいきとした生活が送れるよう、医療や保健、福祉及び生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行う活動のすべてを言う」とされる。このような考えに基づき、地域で包括的にリハビリテーションの推進を支援する「地域リハビリテーション支援事業」が、厚生労働省の方針のもと各自治体などでも行われている。
●平均在院日数にこだわっています:診療報酬上で有利な点数が設定されている一般病棟入院基本料の「T群」は、平均在院日数が28日以内、T群のうち最も高い点数となる入院基本料「1」は21日以内が条件となる(「診療報酬はやわかりマニュアル」36頁参照)。さらに入院基本料の加算である「急性期入院加算」では17日以内の条件が設定されており、現在、急性期を志向する病院にとって在院日数の短縮は大きな経営課題になっている(「診療報酬はやわかりマニュアル」41頁参照)。
●かかりつけ医に情報提供:地域のかかりつけ医から紹介された患者の状況(病状、手術結果、検査結果、退院予定日等)を情報提供するのは、紹介を受けた病院にとって必須の取り組みとなるが、その充実度は病院によって格差が大きいのが現状。
●ケアマネージャー:正式には介護支援専門員という。介護保険制度において、要介護者からの相談等に応じつつ、必要なサービスプラン(ケアプラン)を設計し、サービス提供事業者との連絡・調整等を行うことが主な業務となる。資格要件が別途定められており、実務研修受講試験に合格した上で、所定の実務研修を修了することが必要。ケアマネージャーを配置し、ケアプランを作成する事業者を「指定居宅介護支援事業者」と呼ぶ。また、介護療養型医療施設や介護老人保健施設には、ケアマネージャーの配置が義務づけられている。
●維持期に移る時には介護保険に変わります:一般にリハビリテーションは急性期、回復期、維持期に区分されるが、これを施設類型に当てはめると急性期病院、回復期リハビリテーション病棟、介護保険施設ということになる。


佐藤:確かに、つなぎ目がなかなかうまくいかないというのがいろいろな場面で出てきますね。2002年の診療報酬改定で医療保険の療養病棟に6カ月超の特定療養費化が導入されましたが、当院は特殊疾患療養病棟を持っていますよね。そうするとにわかに"期限切れ"という患者さんをお願いされることがあるのです。このように、まだまだ、場当たり的な対応が多いのが現状です。そういった点では米満先生のような施設完結型は良いのではないですか。

米満:最初は、施設内でやろうという考えはなかったのです。地域が対応できないので、仕方なく施設完結型になりましたが、理想はやはり地域完結型だと思います。ただ、患者さんにとっては医師の顔も知らない施設に転院させられるよりは、同じ施設内で治療を受け続け方が安心できますから、そういった点では施設完結型は良いと思います。
  問題は、施設完結型だと"抱え込んでしまう"ということです。開銀的になり患者さんが外から見えない状態になりがちですから、これは非常に危ない。だから私は、地域の実状に応じて地域完結型と施設完結型がうまくかみ合っていくことが大事じゃないかと思います。

司会:すべてが施設完結型でいけるかと言えばそれは無理ですし、地域完結型では各施設の考え方などに温度差があり、連携に対する取組み方も違いますからね。

中山:私は国立大阪病院に勤務していた頃、当時の厚生省の留学生として2年間デンマークに行っていたことがあるのですが、当時いたコペンハーゲンの病院では、発症からリハビリ終了までずっと同じ施設で診ていました。それは確かに患者さんにとって非常に良いと思います。ただ、患者さんは1カ月以上入院しますから日本に置きかえて経営の観点からみると、これでいけるのかなという思いもありました。

米満:その点については、診療報酬で、回復期リハの点数や特殊疾患療養病棟の点数など機能に特化した点数が設定されてきましたのでやりやすくなりました。私のところは一般病床250床、回復期リハ病棟100床、療養病床60床ありますが、このように機能分化した状態で流れを組み合わせていくと、経営的には成り立つと思っています。

佐藤:私は医療情報がきちんと開示され、患者さんに選択権があるのであれば、施設完結型でも地域完結型でも良いと思います。というのは、私どもの地域で、当院から介護保険施設に移ろうとしたときにどれくらい待たなければいけないのかを調べさせたら、6カ月から1年も待たなければいけなかったのです。この場合、特殊疾患療養病棟で対応していますが、やはりこのような実状は大きな問題だと思いますね。

司会:米満先生のところの老健施設では待機患者さんはどれくらいなのでしょうか。

米満:老健は中間施設という理念を徹底して追求していますから、在所日数は2カ月を切っています。日本で3番か4番目に早いんですよ。その代わりに入所した時点で退所後の在宅療養の準備を進めます。でないと間に合いません。在宅につなげる場合には、当院が訪問リハや通所リハの受け皿となります。それがないと老健の入所期間がどこでも長期化して、そのために待機患者さんが全然入れなくなります。

中山:あとリハビリに関して言えば、老健の施設基準は、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)が100人当たり1人になっています。私はこれで果たして在宅復帰をめざした十分なリハビリができるのかと思っています。米満先生のところではもっと強化されているのですか?

米満:はい。80床に対して、PT6人、OT4人の計10人おります。そのおかげで2003年の介護報酬改定で通所リハに個別リハ加算が新設されたとき、すぐに算定できました。個別リハがやれたので、介護報酬の点数が引き下げられてもマイナスにはなりませんでした。個別リハをやっていないところはマイナスです。老健でも病院でもそうですが、何をやるべきかを常に考えて、自分たちがやりたいことをきちんと理念に燃えてやっていれば、あとから厚労省はついてくると思います。

佐藤:私もまったく同感です。実は今の特殊疾患療養病棟は、その前は介護保険病棟だったのです。しかし、病院が介護保険の病棟をやっていくべきなのだろうかと疑問に思い、特殊疾患療養病棟に変えたのです。その矢先に介護報酬改定があって点数が下がったものですから、影響をほとんど受けなくて済みました。ですから地域において自院がどんな役割を求められているのか、医療全体の中でそこを見続けていければ経営的にも成り立つと思います。

○地域完結と施設完結は実状に応じて
→現在の医療行政の方向性としては、地域完結型の連携を目指しているのが現状だが、理想的な地域完結連携を実現している地域はまだまだ少ない。地域完結、施設完結、双方のメリット、デメリットを把握しつつ、地域の医療資源を有効に活用していくことが要点となる。
○介護保険施設もリハビリの充実度が経営に大きな影響を
→2002年の診療報酬改定、2003年の介護報酬改定により、リハビリテーションは、簡単なリハビリテーションが評価されなくなり、密度の高い「個別のリハビリ」が重点評価されるようになった。このため、リハビリ提供機関となる病医院、老健施設などでは、PT、OTなどのマンパワーを確保した上で、充実したリハビリを行わなければ、リハビリの採算性は厳しくなる傾向にある。

 


●6カ月超の特定療養費化:2002年度診療報酬改定で導入された「180日を超える入院料の特定療養費化」を指す。入院期間が180日を超えると入院基本料等の保険給付が最大15%カットされ、その分の費用を患者が自己負担するというもの。長期入院の抑制と介護保険への誘導を企図した措置とされている(「診療報酬はやわかりマニュアル」34頁参照)。
●老健は中間施設:1986年(昭和61年)に老人保健施設が制度化された際、医療施設と福祉施設の中間、あるいはこれらの施設と家庭の中間に位置する施設という意味合いから、「中間施設」とも呼ばれ、老人保健施設の別称として定着した。
●在所日数は2力月を切っています:厚生労働省の2001年「介護サービス施設・事業所調査」によると、介護老人保健施設の退所者の平均入所日数は229.2日となっている。寿量会の老健施設の入所日数がいかに短いかがわかる。
●老健の施設基準:介護保険法に基づく老人保健施設の人員配置基準は、医師数100:1、看護・介護職員3:1(ただし、2005年までは3.6:1で可)、介護支援専門員(ケアマネージャー)100:1、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)100:1、栄養士100:1などとなっている。ちなみに、介護報酬上のリハビリテーション機能強化加算を算定するためには、50:1以上のPT・OTが必要。
●適所リハに個別リハ加算が新設:通所リハビリテーションとは、いわゆるデイケアを指す。医療機関や老人保健施設に患者が通所し(多くは送迎される)、必要なリハビリテーションを受ける。従来は医療保険で行われるサービスだったが、介護保険の施行に伴って介護保険のサービスヘと移行した。この通所リハの介護報酬が、2003年度の介護報酬改定で引き下げられたものの、計画に基づく個別のリハビリテーションを行った場合の加算(個別リハ加算)が新設されたため、充実したリハビリテーションを実施している施設ではマイナスの影響が少なかったと言われている。


司会:連携という点では、地域のかかりつけ医と病院の関係性が非常に重要になります。金沢脳神経外科病院では現在290人の登録医がいらっしゃるということですが、かかりつけ医の先生方との機能分化はどのようにされているのですか。

佐藤:当院の役割はあくまで急性期で、あとは地域との連携で自分達の役割を果たしていくという考え方でやっています。ですから急性期が過ぎた患者さんや外来患者さんはどんどん逆紹介を行っています。脳卒中の患者さんというのは高血圧や糖尿病といった生活習慣病も持っておられます。そういった疾患の専門家は開業医の先生ですから、基礎疾患は開業医の先生にきちんと診ていただいて、当院は半年に1回くらい「そろそろ定期検査をしましょう」と患者さんとかかりつけ医にダイレクトメールを送って、専門的なフォローアップをしています。私は在宅医療の主役は開業医の先生だと思うのです。ですから、在宅の患者さんは地元の開業医の先生にお願いし、しかしその後、例えば肺炎などで入院が必要だということになれば、必ずしも脳外科の領域でなくても受け入れています。

司会:かかりつけ医として、中山先生のお考えはいかがでしょうか。

中山:開業してわかったのですが、かかりつけ医にしかない患者さんとの人間関係があるんです。かかりつけ医は患者さんや家族から何でも相談を受け、長い時間をかけて信頼関係ができてきます。だからこれを有効に利用しないといけないと思うのです。そのためには、連携におけるかかりつけ医、家庭医の役割の見直しが必要だと思います。
私が提唱したいのは、入院してもかかりつけ医を巻き込めということです。開放型病床ですとそういうことができるわけですが、かかりつけ医が病院の主治医から説明を受けて、かかりつけ医からも患者さんに病状を説明する。逆に病院での不満や疑問はかかりつけ医から患者さんに聞いてもらってフィードバックするというふうに。退院時の準備についてもかかりつけ医とあらかじめ話し合っておく。そうすれば非常にスムーズに連携ができるのではないかと思います。入院中の患者さんに対するかかりつけ医の役割をもっと見直していくことが今後の大きな課題ではないでしょうか。

米満:しかし病院側から言いますと、そういうかかりつけ医が非常に少ない。日本は家庭医、かかりつけ医という言葉はありますが、本当の意味で位置付けされていない。ただ開業した人をかかりつけ医というかといえばそうではありません。かかりつけ医の位置付けがなされていかないのです。中山先生がおっしゃるとおり、かかりつけ医の役割は非常に重要です。

佐藤:私も同感です。今の開業医の先生はサラリーマン化してしまって、午後5時以降はまったく連絡がとれないということも多い。患者さんからみても病院にかかっている方が安心だという思いがあるようです。だから開業医の先生と連携していこうと逆紹介を進めても、不安が解消されなくて、結局戻ってくる患者さんがいらっしゃいます。

米満:開業医の先生に一番必要なのは、患者さんの生活までみるということだと思います。機能障害や病気の治療だけじゃなくて生活機能までとらえ、そして生活機能障害をどうするかというところまで関わっていくというのがかかりつけ医じゃないかと思います。

司会:生活までみるという点では、中山先生は、かかりつけ医として、訪問リハや往診なども積極的にやっておられますよね。

中山:そうですね。実際に患者さんの自宅に行きますと、患者さんの生活が見えてきます。どのようにトイレに行っているか、一日をどのようにして過ごしているかとか。ですから、そのような生活に応じた環境を整備して、訪問リハをやると不思議と成果が上がるんです。あと、在宅のリハビリで最も重要なのは教育指導だと思います。医師やPT、OTが24時間付きっきりでリハビリをすることは不可能ですし、1週間に1回30分を1時間に増やしても大差はありません。そうなると、患者さんに自分で訓練する方法を教え、御家族やヘルパーに訓練方法や介護方法を指導し、定期的に客観的評価をしてあげてモチベーションをつけていくことが在宅リハの柱になるのではないかと思っています。

司会:先程中山先生から開放型病床といお話がありましたが、中山先生は実際に開放型病床を利用して共同指導をされているのですか。

中山:はい、しています。開放型病床ですと、私が行ってカルテを見たり指示も出せるシステムなので非常に良いです。患者さんが入院したら病院まで行って、(病院側の)主治医と話をして治療方針を決めています。私から患者さんに説明しますし、患者さんから主治医に伝えてほしいと言われたことも伝えています。こういうシステムを導入していけば地域の開業医、登録医の意識も少しずつ変わっていくと思うのですが‥。

佐藤:開放型病床も非常にうまくいっているところと、そうでないところがあるようですね。

司会:開放型病院で例えば100人の登録医がいると、そのうち患者さんを頻繁に紹介するのは20人くらい。その中で病院をマメに訪問する開業医は3〜4人くらいというのが現状のようです。

米満:今はまだ条件が整っていないので、これから進めていくべきですね。それから開放型がいいと言われる開業医の先生が増えてくるということも重要です。

中山:ただ、時間の確保というのも問題です。大阪のような診療時間の形態をとらないと難しいかもしれませんね。

○必要になるかかりつけ医の役割の見直し
○開放型病床の活用など、病院医師とかかりつけ医のより深い連携体制の構築が課題
→患者を病院に紹介・入院させている間も、かかりつけ医(紹介元の医師)が病院に赴き、病院医師と共同で診療・指導にあたるスタイルは、まだまだ定着していない。入院中、退院後の在宅療養、日常生活までを含めてトータルで患者をフォローし、必要に応じた連携先をコーディネートできるかかりつけ医の存在が求められる。

 


●登録医:開放型病院においては、その病院の属する二次医療圏の診療所医師や歯科医師が20名以上登録されていることが条件となる。一般的には、ここで登録されている医師のことを「登録医」と呼ぶが、開放型病院以外でも独自の運営規定などを設けて地域の開業医等を登録している病院もある。連携を進めるにあたっては、ポピュラーな手法の一つ。
●開放型病床:病院病床の一部を地域の開業医などが利用できるように開放したもの。オープン病床とも呼ばれる。また、開放型病床を有する病院を開放型病院という。
●家庭医、かかりつけ医という言葉はありますが・・:現在、日本では家庭医、かかりつけ医という言葉に明確な定義は存在しないが、国保中央会が2003年1月にまとめた「地域における包括的な保健・医療のあり方に関する研究報告書」では、家庭医的機能として、@地域住民の抱える健康問題について、気軽にいつでも相談に応じる機能、A患者の生活状況を的確に把握した上で、日常よく見られる病気の診断や治療について十分に対応する機能、B病気や障害の緊急度や重症度などに対応して、適切な医療機関を紹介する機能、C医療機関だけでなく、関連する様々な機関と連携しながら、健康増進・疾病予防から、退院後のリハビリテーションや介護サービスとの協力まで、継続したサービスを提供する機能、D在宅診療や健康教室など、地域に出向く活動を積極的に展開する機能、E住民や患者に対して、上記の活動についてわかりやすく説明し、十分な納得を得るとともに、保健・医療に関する適切な情報を提供する機能などを挙げている。現在、盛んに言われている家庭医機能、かかりつけ医機能という言葉も、おおむねこのような機能を想定していると考えられる。
●共同指導:開放型病院に患者を入院させたかかりつけ医が病院に赴き、病院医師と共同で患者を診療・指導すること。また、より広い意味では、開放型病院に限らず、連携する医師同士が共同で患者を指導する場合を指す。医療連携の理想的な形態とも言えるが、実施されているケースはまだまだ少数。診療報酬上では「開放型病院共同指導料」、「退院時共同指導料」など、共同指導を評価した点数がいくつか設定されている(「診療報酬はやわかりマニュアル」13頁参照)。
●開放型病院:地域の診療所等が利用できるよう、自院の設備・病床等を開放している病院で、地域における医療連携の中心的役割を担っている施設が多い。条件としては、@病院の施設・設備の開放・利用についての地域医師会等との合意(契約等)と、病院の運営規定等への明示、A当該2次医療圏の20以上(もしくは当該地域の5割以上)の診療所医師・歯科医師が登録、B開放病床がおおむね5床以上、C届出30日前に、開放病床の利用、医師との共同指導、開放病床の利用率が2割以上などの実績などがある。


司会:連携をしていく上で重要なのが情報提供や情報の共有化ということだと思うのですが、これについてはどうでしょうか。

佐藤:開業医の先生は脳血管障害の専門家ではありませんから、我々の持っている情報をできるだけわかりやすく伝えることが必要です。当院では紹介状に患者さんの解説付きの画像所見を付け、紹介先の医療機関が紹介状をそのままカルテに綴じられるようにして渡しています。これは開業医の先生から非常にわかりやすいと好評で、紹介状を見せながら患者さんに説明できると大変喜んでいただいています。これから連携が進んでいくと、情報をどのように提供し合うかが課題になってくるでしょうね。

中山:そこまでしてもらえれば開業医はありがたいですね。理想の形はやはり専門家は病院にいて3カ月か半年に一度診療し、通常は地域のかかりつけ医が診る。その間の検査結果やサマリー、経過を病院に行くときに持っていき、病院で検査などをした結果をまたかかりつけ医のところに持って帰ってもらう。そうなれば相互補完でき、患者さんにとって便利なシステムになるのではないかと思いますね。

米満:そうですね。連携には情報の共有化にしっかり力をいれかればいけません。もう一つ理想を言えば、何カ月か経ってから経過を紹介した医師に送ればもっと安心しますね。

佐藤:あと連携の際の情報提供という部分では、一番困るのが薬の問題ですね。開業医の先生は現在ジュネリックを多く扱っておられるのですが、当院は先発品を使っている場合があるので、紹介先で薬が変わるというだけで戻ってきてしまう患者さんがいます。ですから当院の薬局長に連携先の薬を全部把握するよう指示して、紹介元である当院から患者さんに薬が変わることを説明しています。そうすれば患者さんは非常に安心します。

司会:連携先でそのように薬が変わることは、よくあるのですか?

佐藤:ええ、変わりますね。

中山:当院は完全に院外処方なのですが、院外処方だとあまりジュネリッタは使いませんね。

佐藤:そのあたりは地域性もあって、石川県では医薬分業率が非常に低いのです。ですから、処方について患者さんの不安をなくすためには、紹介元が事前に説明してあげればいいと思います。紹介する限りはそこまで責任をもたなければいけないと思います。

司会:薬の話題が出ましたが、この他、薬に関して何か感じておられる点はありますか。

米満:これからの薬剤ということで言えば、やはりオーダーメイドですね。一人ひとりの体質にあった薬をどう提供するのかというのは非常に難しいのですが、薬剤師や製薬会社など薬を担当する人は、そのためにどのようなことが必要なのかを一番知っているべきです。機能分化の中でしっかりその役割を担ってほしいですね。それが医薬分業の大きな意味でもあるわけです。

中山:そうですね。特に薬剤師はプロフェッショナルとして地域医療における役割をもっと認識すべきだと思います。問題点の一つとして医薬分業が推進されている一方で、休日・祝日、夜間に営業していないというのはおかしい。救急診療所があるように救急薬局があるべきなんです。もう一つは訪問服薬指導ですが、患者さんの生活を見てその人の飲みやすい服薬状況を把握しながら医師の方にもフィードバックしてほしい。そして、さらに服薬の相互作用のチェックや過剰投与、副作用歴やアレルギー歴まで医師にフィードバックしてくれれば、地域のかかりつけ薬局が機能してくるのではないかと思います。

佐藤:薬剤師に限らず、それぞれの職種がこれから何をすべきか、そういう考えを持った専門職であってほしいですね。今までやってきたことをただやり続けるのではなく、新しいシステムの中で自分たちの役割はどう変わるのかということを考える視点を持ってほしいと思います。

○専門領域での連携では、いかにわかりやすく地域の開業医等に情報提供するかが重要
○連携先で薬は変わっていく
→当然ながらA病院とB診療所で同じ薬剤が使用さているとは限らない。患者にとっては、連携先で薬剤が変わると不信感や戸惑いを持つこともあるので、連携が進むに従って、患者や連携施設に対する薬剤情報の提供と共有化が課題になる。また、さらに連携が進み、地域内で治療内容の標準化等が進めば、連携施設間で薬剤が統一されていくこともある。

 


●石川県では医薬分業率が非常に低い:日本薬剤師会の「処方せん受取状況の推計(2003年2月分、全保健)」によると、石川県の処方せん受取率は24.9%となっており、これは福井県(15.4%)、和歌山県(24.0%)に次ぐ全国3番目の低さ。
●訪問服薬指導:医療機関や薬局の薬剤師が、寝たきり老人等の自宅を訪問し、服薬指導を行うこと。診療報酬上は「在宅患者訪問薬剤管理指導料」、介護報酬上では薬剤師の行う「居宅療養管理指導」としてそれぞれ評価されている。これからの薬剤師に求められる役割とされている。(「診療報酬はやわかりマニュアル」31、51貢参照)。


司会:薬剤に関わる職種として、MRにはどのような役割を担ってほしいと思いますか。また、連携が進む中でMRにはどのようなことを望まれているのでしょうか。

米満:昔はプロパーといって薬を売りに来ていたわけですが、MRは医薬品の情報提僕者であるはずです。一つひとつの薬の効果・問題点といった情報を正確に伝えてほしいですね。自分たちが薬を患者さんに提供するという真摯な考え方でメリット、デメリットをきちんと医師に情報提供していくべきです。逆に医師を啓蒙するぐらいの気持ちがほしいと思います。

佐藤:短い面談時間の中、一生懸命説明したいという気持ちはわかるのですが、こちらは疲れていて「勘弁してほしい」と思う状況もあります(笑)。ですから、短時間でワンポイントを説明する工夫が必要ではないでしょうか。その辺はコツをつかんでほしいですね。

中山:薬はこれから介護分野にも関連していきます。介護保険の意見書の中には薬の名前が出てきますし、訪問介護師やヘルパーも薬に関係します。その時に薬の情報をどうやって得るのかということになります。これからは、医療・保健・福祉が一体化していきますので、ホームページを通じで情報提僕するとか、福祉関係の人からの問い合わせにも対応するとか、そういった機能を持っておかないと、製薬会社の役割というのは果たせなくなるのではないかと思います。

佐藤:それから、例えば、脳梗塞と高血圧を持っている患者さんで、一時カルシウムブロッカーがたくさん使われたのですが、やはり脳梗塞の患者さんには下げすぎということで今はまた変わってきています。われわれはそうやって薬の使い分けをいろいろやるわけですが、実際にMRでそういうことを理解して薬の紹介に来る人は少ないですね。脳神経外科に薬の情報を提供しにきているのに、そういうことがあまりわかっていない。もっと勉強してほしいですね。自分たちが扱っている薬がどういう疾患に適用になって、どういう場合はどうなるのかということを添付文書の内容以外にも理解しておいてほしいと思います。これからガイドラインが出てきますと、薬剤はさらに絞られていきますよ。

中山:そうですね、客観的に他の薬との違いなども説明してほしいですね。全体の中での位置付けが大事だと思います。ラジカット一つを説明するにしても、急性期全体を把握した中でのその薬の位置付け、例えば世界的にはこういうトライアルが進んでいて将来的にはもっと良いものが出てくるかもしれないということを踏まえ、そういう情報も提供しつつ薬の紹介をしてもらえると、こちらとしても貴重な情報源になります。自分の専門分野はいいのです。私なら脳血管障害なら大抵チェックしていますから。しかし専門外の分野、例えば骨粗鬆症は私の専門ではないので精通していません。その辺の情報が入ってくると非常に役に立ちます。むしろ自分の専門外の分野の貴重な情報を流してほしいですね。

司会:そのためには、訪問先の先生がどんな専門でどんな患者さんを診ているのか把握している必要がありますよね。

中山:その通りです。専門領域や周辺領域が何かですね。

司会:医療が転換期に入り、大きく変わってきたのと同じように、MRの行動も変わっていかなければいけないということですね。今日は長時間にわたってありがとうございました。

○デメリット等も含めた的確な薬剤情報の提供を
○個々の医療機関の専門領域に関する情報は必須。それだけではなく、関連する周辺領域の情報提供も
→医療連携が進み、治療ステージが複数の医療機関をまたいだ横断的なものになる現状では、薬剤の情報提供活動も急性期病院のみを対象にしたものではなくなる。急性期亜急性期(回復期リハ等)慢性期といった治療全体の中で、その薬剤の位置付けを理解しておく必要がある。
○医師・薬剤師だけではなく、状況に応じて看護職、PT、OT、介護関係職などへの状況提供等も必要に
→要介護者の多くは慢性疾患を抱えている。このため、薬は介護やリハビリの分野にも関連してくる。介護関係者やPT,OTといったリハビリ関係者にも医薬品の有効性、安全性などの情報をいかに提供してくかを考えていく必要がある。

 


●意見書:「かかりつけ医の意見書」を指す。介護保険制度では、要介護認定に際して主治医が傷病や心身状況、介護に関する意見などを記載した「意見書」を作成し、判断を下す際の参考資料とする。