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■最新医療経営(No.222)■

積極的な連携で急性期病院のポジション確立”医療連携室”が効果を発揮
連携先医療機関を積極的に広報展開
医療連携室に強い責任と権限を付与

 医療法人浅ノ川金沢脳神経外科病院(院長・佐藤秀次氏)、は、1980年の開設以来、脳神経外科病院を中心に運営されている。同院では、地域ニーズを補完すべく4つある病棟を急性期病床60床、医療型療養病床54床、介護型療養病床54床、特殊疾患療養病床52床で構成。開院当初から病診・病病連携に積極的に取り組み、県内252の病医院を登録医療機関として、患者紹介および逆紹介を行っている。ここでは同院のユニークな連携体制についてリポートする。

 医療法人浅ノ川金沢脳神経外科病院は、脳神経外科の急性期医療をメインとする病院として、毎月の救急車搬送件数は平均34件(2002年度)、年間の手術件数は240件を超える。同院では「3017運動」として「紹介率30%、急性期病棟の平均在院日数17日以内」を目標に病院全体で取り組んできたが、急性期60床の平均在院日数は最近17日以内をクリアし、02年11月度には、ようやく紹介率30%の目標も達成した。院長の佐藤秀次氏は85年の院長就任以来、医療連携を積極的に進めてきた。「脳神経外科を専門とする当院では、手術・治療後、診療所に逆紹介するケースが非常に多いのです。しかし、患者さんのなかには病院から追い出される″と不安を感じ、難色を示す方もおられました。患者さんに対して、治療の継続性や専門的なアフターケアをきちんとできるという保障を与えたかったのが、医療連携を始めるきっかけでした」
  逆紹介に不安を抱く患者に対して、病診連携の意義や目的をきちんと理解してもらわなければ、医療連携を円滑に進めることはできない。同院では広報誌『ふれあい』(年4回発行)を活用し、医療連携の必要性を説くと同時に、登録医療機関の院長を毎回誌面で紹介している。
  さらに外来待合室には、連携協力関係にあるすべての医療機関名を地域ごとに分けて掲示するとともに、金沢脳神経外科病院と連携協力関係にある医療機関』という冊子をつくり、連携先各医療機関の住所(連絡先)、診療科目に加えて、個別の特徴なども掲載している。それぞれの医療機関におけるサービスや専門性が、簡潔にわかりやすく紹介されているので、患者は病医院のガイドブックとしても活用できる。この冊子と広報誌『ふれあい』は、外来待合室のラックに置かれ、患者は自由に持ち帰ることができる。

 前述したように、同院の紹介率は30%を超えたが、紹介患者実数、逆紹介患者数についても01年以来、急速に増え続けている(表参照)。


  紹介率が増えるに従って、新入院患者数も99年には月平均70人、00年には74人、01年には78人、02年には84人(10月現在)と、年々増加している。一日平均外来患者数は110人前後。逆紹介を進めたことにより、以前よりは減少しているという。しかし佐藤氏は、「平均外来患者数が減少している半面、救急車搬入件数、病床稼働率は向上しています。外来新患数も増えている(月平均323人)ので、急性期病院として理想的な形になりつつあります」と強調する。
  医療連携をこれだけ幅広く実現できたのは、他の医療機関との信頼関係を構築するために、病院側が地道な努力を継続してきたからにほかならない。「医療連携の会」を設け、毎回10人前後の小グループではあるが、登録医療機関の医師との勉強会や情報交換会を随時開催し、そこで連携を進めるうえでの問題点や要望等を出してもらう。その会に新しい先生方が参加することで、新たな登録医となり医療連携のネットワークが広がっていくのだ。
  こうした医療連携の中核を担っているのが事務スタッフ3名からなる医療連携室。同院では開業医から紹介を受けた場合、勤務医がその返書を3日以内に紹介先に送付する方針だという。また、紹介を受けて入院した患者が退院し、逆紹介によって継続的な診療を受ける場合、患者の情報がきちんと開業医に届いているかどうかも綿密にチェックしている。連携先に返事を送っていない医師は医療連携室から厳しく催促されるが、「医療連携室にそれだけの権限を与えないと、連携はシステムとして動いていかない」(佐藤氏)という。
  同院はホームページ上に過去の手術件数と、昨年度の主な疾患の手術成績を公開することで、今後も正確な治療成績の公開を進めていく。最後に佐藤院長は、「情報公開により透明性の高い病院づくりに努めなければ、患者さんだけでなく連携先医療機関の信頼も得られません」と締めくくった。