■脊柱管とは??■
脊柱管は、
・前方(腹側):椎体と椎間板
・側方:椎弓根
・後方(背側):椎間関節、椎弓、棘突起(きょくとっき)
から成り立ちます。
これら前方、側方、後方の各要素に取り囲まれた内部スペースが脊柱管です。
 
脊柱管内には支持組織として
・ 前面:後縦靭帯
・ 後面:黄色靭帯
があり、脊椎の安定性を維持しています。
■腰部脊柱管狭窄症とは??■
脊柱管を構成する脊椎や黄色靭帯が変性肥大(へんせいひだい:性質などが変わること、太って大きくなること)したり、椎間板が突出して、その中に収められている神経が圧迫を受けた状態(下図)を腰部脊柱管狭窄症といいます。

腰部脊柱管狭窄症は加齢に伴って増加し、老人に多いのが特徴です。一方、生まれつき脊柱管の狭い人がおり、このような人では加齢に伴う椎間関節や黄色靭帯の変性肥大や椎間板の膨隆(ぼうりゅう:皮膚・粘膜などの局部的な盛り上がりやふくらみ)などによって神経が圧迫を受け、 30〜40歳代の比較的若年で発症する場合もあります。
腰部脊柱管狭窄症は脊椎や黄色靭帯の非可逆的(ひかぎゃくてき:元の状態にもどらない)な進行性の形態変化により神経が圧迫される為、症状は加齢に伴って次第に進行します。
腰部脊柱管狭窄症は、
・ 中心管狭窄症(狭窄の存在部位から「内側型」と呼ばれる)
・ 外側陥凹狭窄症(「外側型」と呼ばれる)
・ 椎間孔狭窄症(椎間孔の狭窄による)
の三型に分けられます。通常はこれらが単独あるいは複合して症状が現われます。
「中心管狭窄症」では
両側性の間欠性跛行(※下記説明)の症状が現われます。
※間欠性跛行(かんけつせいはこう)
歩いているうちに下肢が痛んで正常に歩けなくなり、休息すると痛みがとれて歩けるようになる状態。 |
「外側陥凹狭窄症、椎間孔狭窄症」では、
坐骨神経痛(※下記説明)などや一側性の間欠性跛行の症状が現れます。
※坐骨神経痛
お尻や足への放散痛(強い刺激を受けたとき、刺激を受けた場所だけでなく、周囲にも痛みが広がっていくこと)お尻、ふともも後面、ひざから足首までの部分の外側や後ろ、足の甲あたりまでがシビレや疼痛をきたす。
多くは腰椎椎間板ヘルニアが原因と言われているが原因は様々。 |
腰部脊柱管狭窄症に特徴的な症状は間欠性跛行です。
路上で、お年寄りの方が腰を前に曲げて歩いている姿を目にすることがありますが、この歩行姿勢は間欠性跛行に対処するために自然に身につけたものです。腰部脊柱管狭窄症の患者さんにとって最も不都合なことは、歩いて遠出ができないことです。近くまでの買い物や、ひどくなると家の中の移動さえ困難になります。男性では、小便が済むまでの間立っていることさえ困難になることがあります。しかし、一般に自転車で遠出することは差し支えありません。
その他の症状として、「外側陥凹狭窄症」や「椎間孔狭窄症」では腰椎椎間板ヘルニアで見られるような坐骨神経痛に悩まされることも少なくありません。全ての型において下肢にしびれや冷感を自覚し、進行すると知覚障害や運動麻痺、筋萎縮が見られるようになります。
「中心管狭窄症」に特異的な症状は、膀胱機能障害や排便機能障害です。
以上のように、一口に腰部脊柱管狭窄症と云っても、その病態と症状はいろいろです。
■診断■
診断において重要なことは、先に述べた下肢の症状が姿勢や歩行によって悪化することや改善することを慎重に確認することです。腰部脊柱管狭窄症と鑑別を要する代表的疾患に、下肢の末梢動脈閉塞症があります。末梢動脈閉塞症とは筋肉に血液を送る動脈が閉塞するため、歩行時に筋肉に虚血(きょけつ:組織や臓器への動脈血の流入が減少あるいは途絶すること)が起こり、筋肉痛のために歩けなくなります。
本疾患も休むことによって痛みは解消し、再び歩くことが出来ますが、腰部脊柱管狭窄症に特徴的な腰の姿勢と症状との関連性は認められません。末梢動脈閉塞症では、足背動脈の触知が不良であることや、足の色合いが悪い(チアノーゼ)などが診断のポイントです。
・レントゲン撮影
・MRI
・CT
・脊髄造影(ミエログラフィー)
・脊髄造影後CT(CTミエログラフィー)
などが用いられます。これらの検査から、腰部脊柱管狭窄症のタイプと原因を診断し、障害を受けている神経を見極めます。
脊柱管狭窄症の診断には、MRIが有用です。
脊髄造影(ミエログラフィー)は腰椎の動き(腰椎伸展や屈曲など)が脊柱管に与える影響を知るのに有用です。
脊柱管は正常者でも腰椎の伸展で狭くなり、屈曲で拡がります。この生理的な現象が腰部脊柱管狭窄症では症状の発現に関与します。
本院では、現在、脊髄造影やCTミエログラフィーを行うことは少なくなっており、レンゲン撮影、MRI、CTが必須検査です。
■手術治療■
MD法(別ページに説明あり)を脊柱管狭窄症にも用いています。皮膚切開は椎間板ヘルニアの場合と同様に約1.5cmです。先天的要因のある症例でもMD法を用いています。 手術所要時間は一箇所で平均30分、出血量は5〜10ccです。
術後翌日から歩くことができ、1〜2週間で退院できます。無理なく早期離床を図れることから、MD法は高齢者に多く見られる腰部脊柱管狭窄症に最適な手術法と考えられます。退院時には鎮痛剤はほとんどの症例で不要です。基本的に通院治療の必要はありません。
腰部脊柱管狭窄症で悩まれている方は、脊椎専門外来(別ページに説明あり)まで気軽にご相談ください。
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