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腰椎椎間板ヘルニア
 

■腰椎椎間板ヘルニアとは■

 腰椎椎間板ヘルニアは、青壮年者(16〜50歳くらいの者)の腰痛・下肢痛を起こす代表的な病気です。
腰椎椎間板ヘルニアでは通常「ぎっくり腰」と呼ばれる急性腰痛が起こります。
 腰痛のみの場合は、激痛であっても、通常は安静と薬物治療などによって比較的短期間で治ります。しかし、いったん治っても、腰椎への過剰な負担が加わった時に急性腰痛を繰り返すことが少なくありません。

 脊柱のクッションの役割を果しているものが椎間板です。椎間板は年齢とともに(20歳を過ぎ)次第に衰えてきます。そのために椎間板内部の髄核が飛び出してしまった状態を椎間板ヘルニアと言います。(下図参照)
 しかし、椎間板が飛び出ているだけなら、大した問題になることはありません。問題なのは、飛び出したものが神経を圧迫することにより、坐骨神経痛などが生じることです。

正常な状態 椎間板ヘルニア

 発生頻度が最も高いのは、第4腰椎(L4)と第5腰椎(L5)の椎間(L4/5)であり、これに次ぐのが第5腰椎(L5)と第一仙椎(S1)の椎間(L5/S1)です。(下図@参照)
これらで腰椎椎間板ヘルニアの大部分を占めます。
腰椎椎間板ヘルニアは、同じレベル(椎間)でもヘルニアの存在部位によって

・内側型(図Aの@)
・後外側型(図AのA)
・外側型(図AのB)
・超外側型(図AのC)

 に分けられ、圧迫される神経と症状が異なります。(図A参照)

図@
図A

【内側型】(図Aの@)
 椎間板が中心部に大きく脱出した内側型ヘルニアでは、にわかに排尿障害や排便障害が発現することがあり、この場合は緊急手術が必要になります。

【後外側型】 (図AのA)
  L4/5とL5/S1の後外側型ヘルニアは、進行すると腰痛に加えて同側の臀部(お尻の部分)から大腿後外側部(太ももの部分)へ放散する痛みが発現するようになります。これが「坐骨神経痛」と呼ばれるものです。

※坐骨神経痛
 お尻や足への放散痛(強い刺激を受けたとき、刺激を受けた場所だけでなく、周囲にも痛みが広がっていくこと)お尻、ふともも後面、ひざから足首までの部分の外側や後ろ、足の甲あたりまでがシビレや疼痛をきたします。
多くは腰椎椎間板ヘルニアが原因と言われていますが原因は様々です。

 坐骨神経痛は、ヘルニアの程度によって痛みの程度は様々であり、軽症のものから重症では日常生活に支障をきたすようになります。
例えば、
@じっと坐っていられない。
A仰向けの姿勢で寝ていられない。
B立ったり歩いたりできない
などです。さらに進行すると下肢にしびれや知覚障害が発現し、下肢の筋肉に麻痺が起こることさえあります。

【超外側型】(図AのC)
 腰椎椎間板ヘルニアの診断上最も困難で、誤診され易いヘルニアは「超外側型ヘルニア」と呼ばれるもので、神経が椎間孔外へ出たところでヘルニアより圧迫されます。難治性の坐骨神経や大腿神経に沿う激痛を引き起こします。このヘルニアの発生頻度は全腰椎椎間板ヘルニアの7〜8%以下と比較的稀なことから見逃され易いので注意が必要です。

■腰椎椎間板ヘルニアの治療法■

 このように椎間板ヘルニアには種々のタイプがありますが、難治性となった腰椎椎間板ヘルニアに対しては、MD法(別ページに説明あり)によるヘルニア摘出術が極めて有効です。ヘルニアにより圧迫されている神経は直径にしてせいぜい5mm弱であり、肉眼下で安全に扱うことには困難を伴います。

 手術治療に際してとりわけ重要なのは、神経症状と画像所見との一致性です。すなわち、神経症状の十分な吟味から障害されている神経を診断し、更に画像検査から神経の圧迫部位を明らかにすることが重要です。症状分析が甘く、もっぱら画像所見に依存した手術治療を行うなら、症状の真の原因を見誤り、その結果患者さんの症状は手術をしたにもかかわらず良くならないということが起こります。「ヘルニアを手術したけれど、症状は良くならない」という苦情を耳にすることがありますが、これは手術部位の誤りや不適切な手術法が原因であると思われます。言い換えるなら、ヘルニアの部位診断と手術方法に誤りが無ければ、手術効果は必ず現れます。患者さんにとって最もつらい下肢の激痛は術後速やかに改善するのが普通です。更に、手術時期さえ適切であれば、下肢のしびれなども残りません。
当院では、MD法による手術によって、後遺症として残るような症状悪化例は経験していません。手術は極めて安全と受け留めていただけます。

 最近では、他院で手術を受けられたが症状の改善がないと、再度、本院での手術を希望されて受診される患者さんが増加しています。この再手術例や、さらに再発例においてもMD法を用いて良好な治療成績が収められています。再手術や再発例の手術は、通常、神経根周囲の強い癒着によって初回手術とは比較にならない程の困難を伴います。しかし、手術顕微鏡は、このような不利な状況下でも大きな威力を発揮します。術野を埋め尽くす瘢痕組織(切り傷・火傷(やけど)・潰瘍(かいよう)などが治ったあとに残る傷あと。)の中から肉眼では見分けることの困難な神経を同定し、安全に剥離し、ヘルニアを摘出することができるのです。 顕微鏡手術の安全性が確立された今日では、保存的治療(薬物・理学療法など)で症状の改善が得られない、あるいは症状の悪化する患者さんは手術治療を考慮されるべきと考えます。下肢の痛みを取り除き、しびれや麻痺を後に残さないためには、適切な時期に手術を行うことが重要です。 ヘルニアにより圧迫された神経が麻痺し、変性してしまってからでは手遅れです。神経の回復力がまだ残っている時期に手術を行うことが非常に大切です。

 腰椎椎間板ヘルニアの手術後は、翌日から歩くことができ、1週間〜2週間で退院できます。 このように手術顕微鏡を用いた椎間板ヘルニア摘出術は、進行した腰椎椎間板ヘルニアに対する安全で根本的な治療法であり、かつ正常な生活への早期復帰を可能にする確かな治療法です。

 腰椎椎間板ヘルニアで悩まれている方は脊椎専門外来(別ページに説明あり)まで気軽にご相談ください。

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